Published on June 29, 2022
育種基準の設定
卵を生産するための鶏の品種改良と選抜について、さまざまな意見があることは周知の事実です。ヘンドリックス・ジェネティックスの戦略は、飼育されるすべての産卵鶏が最高品質の卵を産むように選抜することです。
この戦略は、高齢になっても許容できるレベルの卵の生産を維持できる(産卵持続性のある)産卵鶏は、その鶏の体調(健康)がそれを可能にしているからに他ならないという哲学に完全に合致しています。産卵鶏の状態が良ければ、より良い動物福祉につながります。より良い生存率は、改善された動物福祉と鶏の行動を選抜した結果でもあります。生存率が向上することで、1羽の鶏が産む卵の数が以前より多くなります。そしてもちろん、卵の品質も忘れてはいけません。卵は、卵の生産構造全体の中で消費者が目にする唯一の部分だからです。持続可能性の定義については様々な意見がありますが、ヘンドリックス・ジェネティックスは、自身の育種改良方法が、世界で最も持続可能な産卵鶏を生み出すと確信しています。
すべては育成期間中に始まる
生涯現役、つまり産卵サイクルを長く続けられる産卵鶏の選定は、すでに育成期間中に始まっています。その目的は、体重曲線に従って成長する雛を選ぶことです。孵化後5週齢までは、臓器、骨格、筋肉の発達に成長の多くを費やすため、雛の成長が早いことが重要です。孵化後17週齢もまた、体重のプロファイルと均一性を考慮して鶏を選別する重要な時期です。生殖器官は、髄質骨と同様にこの週齢で発達し、どちらも多くの最高品質の産卵を容易にするために不可欠です。育成期間中に、鶏の飼料摂取量を制限することは決してお勧めできません。育成期間の目的は逆で、若メスが食欲を増進させ、消化器官の発育を促すような飼料戦略をとることが重要です。産卵鶏の育成期間は、単なる費用ではなく、その後の産卵期間成績のための投資と考えるべきでしょう。
産卵開始はタイミングが重要
育成、産卵、あるいは鶏の繁殖、それらはすべてタイミングが重要です。適切なタイミングで適切な管理を行うこと、あるいは形質を測定し、その形質に基づいて適切なタイミングで鶏を選抜すること、タイミングが重要なのです。産卵の開始時期は鶏群によって異なり、鶏種(遺伝)および育成期間中の管理に大きく依存します。遺伝的な鶏種の選択、飼料管理、照明プログラムなどが産卵の開始に直接影響します。育種会社としては、育成期間中に雛が十分に成長することを目標としています。産卵開始が早すぎると、高齢になってから産卵持続性を維持するのが難しくなることがよく知られているため、全体として産卵開始は17週齢より前になるべきではありません。養鶏場でより生産的で持続的な生涯とするための十分な準備期間を確保するために、一部の鶏種を数日遅らせることさえあります。照明プログラムなどで産卵開始を早めようとしすぎると、若メスの体重や均質性に悪影響が出ます。その結果、均一な生産ができなくなり、限界まで追い込むことになるため、生産期間中のストレスイベントに対応できる鶏が少なくなります。特にケージフリー鶏舎では、若メスの丈夫な発育に重点を置くことをお勧めします。
卵数が多い、卵総重量が多い、飼料効率が良い
1羽の鶏が産む卵の数が多ければ、1羽の鶏が産む卵重量はすぐに大きくなります。これは、平均的に卵重の小さい卵を産む鶏種にも当てはまります。つまり、ヘンハウス当たりの産卵が1個少ないことは、鶏種間で1グラムの差にともなう60日以上の卵生産に相当することを覚えておいてください。鶏1羽あたりの卵の生産量を多くすることは、たとえ鶏の卵が多少小さくても、卵生産者にとってすぐに有益になります。産卵の持続性を高めるように鶏群を管理し、より持続性の高い鶏種を選択することで、1羽あたりの卵の生産量はすぐに加算されるようになります。つまり、卵を個別に販売しても、大量で販売しても、適切な遺伝子を選択することが、ビジネスの収益につながります。ヘンドリックス・ジェネティックスの育種プログラムでは、より多くの卵を産み、かつ飼料摂取量を一定に保つことができる産卵鶏を選抜しています。卵の生産量が多く、飼料摂取量曲線が平坦であれば、卵を生産するために必要な飼料が減少するため、より効率的な産卵鶏が生まれます。産卵鶏群を長く飼育することで、飼育期間中の飼料コストを産卵鶏の寿命が長い間に生産される卵の数で希釈することができ、産卵鶏群の飼料効率が改善されます。
生存率を重視する
斃死は、大きなコストがかかるだけでなく、鶏卵生産者のモチベーションや気分にも影響を及ぼします。死んだ鶏を集めて鶏舎から運び出すのが好きな卵生産者は一人もいません。ヘンドリックス・ジェネティックスの育種の使命は明確で、死亡率に対抗するものを選ぶか、逆に、生存率を向上させるものを選ぶかです。遺伝率の低い形質を扱っているにもかかわらず、過去数十年にわたり産卵鶏の鶏種選定は明らかに素晴らしい進歩を遂げています。生存率の選抜は育種目標に明確に反映されており、鶏 1 羽の飼育結果を全ての選抜基準に用いています。餌付け羽数(育成期間)、成鶏移動羽数(生産期間)にさかのぼって、すべてを計算しています。若メス生産者や鶏卵生産者にとって、雛は高い出費となるため、雛や産卵鶏、そしてそれらの健康全般に注目することが重要です。
大切なのは品質です
ヘンドリックス・ジェネティックスの育種プログラムでは、1羽の鶏が産む最高品質卵の数が最も多くなるように改良することが重要なポイントです。最高品質の卵を産むということでは、質の良い鶏が鍵となります。質の良い丈夫な産卵鶏を繁殖させることに次いで、内外卵の品質について集中的な選抜が行われています。消費者が目にするのはあくまでも卵であることを忘れてはいけません。卵は、消費者の食卓に上るまでかなりの時間をかけて移動する必要があることが多くあります。最後まで品質が保たれる卵を選ぶことが重要です。最近の卵の表現型解析の革新と発展により、より正確なデータが得られ、次世代の産卵鶏の選別に利用されています。このデータの改善により、卵の品質における遺伝的進歩が可能になりました。
曲線を平坦にする
産卵の持続性を高める選抜、鶏の生存率を高める選抜、卵質の持続性を高める選抜、これらはすべて曲線が急激に下がらないように平らにするためのものです。育種プログラムでは、個々の選抜候補とその子孫のパフォーマンスを継続的なレベルでモニターしています。そうすることで、性能の全体像を把握し、最適なカーブを持つ最高の鶏を特定することができます。これらの産卵鶏を選抜することで、ヘンドリックス・ジェネティックスは将来の産卵鶏のための強固な基盤を作り上げています。
まとめ
産卵鶏の育種は、ある特定の形質に焦点を当てることではありません。産卵鶏の健康状態や世界中の鶏卵生産者の収益性に影響を与えるさまざまな形質の完璧なバランスを見つけることなのです。小規模な鶏卵生産者から大規模なインテグレーターに至るまで、ヘンドリックス・ジェネティックスの採卵鶏育種改良戦略がそのニーズに合致し、世界中の鶏卵生産者に付加価値をもたらすと確信しています。一羽の鶏が産む高品質卵の数を増やすことは、産卵鶏がより健康で、より丈夫になり、生産期間中により多くの高品質卵を産むことに貢献します。卵重が小さい鶏種でも、一羽の鶏が産む高品質卵の数が多ければ、一羽の鶏が産む卵重量も多くなります。1羽の鶏の卵の総卵重量が多いほど、飼料摂取量も多くなりますが、産卵サイクル全体を通じて飼料要求率が高くなります。ヘンドリックス・ジェネティックスの育種努力の結果、採卵鶏種は優れたパフォーマンスを発揮し、世界中の鶏卵生産者を成功に導いています。
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